2021年8月29日日曜日

第16回GE DWIBS研究会 問答

16GE DWIBS研究会 問答


Let’s Try DWIBS

東京都健康⻑寿医療センター 一矢 

頭頸部の中心のアーチファクトはN-ハーフと結論づけていますが、頭頸部コイルは感度が高く(特に頭部) PIの展開不良の可能性はないでしょうか?(実際にファントムのような信号が高いものを撮影すると完全に折り返りはもとに戻らない)

答え

今までの経験上、展開エラーの場合リップライクなアーチファクトを見てきたため違和感を覚え、今回は考えた結果N/2アーチファクトとしました。ご指摘の通り、原理的に考えてもASSETの展開不良のアーチファクトである可能性も高いと思います。折り返るのが頭部の高信号だけなのでリップライクにならないですね。歪み防止のためASSETを抜くことは出来ないので、ASSET factorを変化させるなどして位置が変わるかなどで確認をとり、今後の検討事項の1つにさせていただければと思います。ご指摘ありがとうございました。


Let’s Try DWIBS

帝京大学溝口病院 原田

RTCFDSE併用ですとTE延長があるかと思いますが、NEX決定の際に影響しましたでしょうか?

答え

TEの延長に伴いS/Nが低下いたしますので、NEXの決定の際には考慮いたしました。

1.5T3.0T両方のお話が出ていたと思いますが、臨床ではどちらを優先して使用していますか?理由もあれば教えてください。

答え

施設においてDWIBS撮像は1.5Tのみで行っております。F/Sの効きが良い、磁場の不均一の影響が少ないと考える為になります。

MRI2台体制可動の際、一部の検査部位や依頼科等において磁場強度指定の振り分けがなされDWIBS撮像を1.5Tで行った方が片方

に偏らない状況下であった背景もございます。3.0Tにおいてとても綺麗なDWIBS画像を提供されているご施設もございますので、

GE DWIBS研究回にて学んでいければと考えております。


DWIBSの症例報告

静岡済生会総合病院 山崎敬之

骨転移or造血髄の判断に有用なケミカルシフトイメージングは、T1in/outT2in/outではどちらが良いでしょうか?

答え

T1in/out(LAVA-FLEX)をお勧めします。その理由は、Scan時間です。LAVA-FLEXScan時間は、1STEPあたり数十秒です。一方、T2in/out(IDEAL)Scan時間は、1STEPあたり3~4分です。撮影時間の長いIDEAL法は、検査全体の撮影時間を延長させ、患者さんの負担を増大させます。よって、撮影時間の短いLAVA-FLEX法をお勧めします。

DWIBST1WI Sagと同時に見るとよいとお話がありましたが、SagittalFusion imageは作成されてますでしょうか?

答え

当院では、CoronalSagittalFusion画像を作成しています。Fusion画像は、病変の位置を把握するのに非常に役立ちます。しかし、SagittalFusion画像は、磁場の不均一の影響で、T1強調画像とDWI画像は完全に一致しないこともあります。そのため、画像を見るときは、Fusion画像単体で見るのではなく、元画像もしっかりと見てください。


論文より、DWIBSがとても有用である事が分かりました。山崎さんの施設ではDWIBSを第一選択肢としていますか?DWIBSの運用などあれば教えてください。

答え

当院では、疾患によってDWIBS検査を第一選択としている場合もあります。それは、悪性リンパ腫などのリンパ節を見たい場合です。当院の血液内科医師、耳鼻科医師は、非造影で感度よくリンパ節を描出できるDWIBS検査を非常に有用だと評価してくれています。


横浜南共済病院 広哲

DWIBSにおける1.5T3.0Tの画質の相違- 骨髄の描出に差がある-

正常な骨髄コントラストが異なると、骨転移等の所見があった場合にどのように影響するのでしょうか。

答え

骨転移をはじめ、高信号を呈する所見であれば、殆どの場合、正常骨髄とのコントラストはつくと思われますが、曖昧な信号値の所見であった場合, 周囲の骨髄信号が上昇すれば、埋もれて観察しづらくなる可能性が考えられます。静磁場強度による見え方の違いを踏まえた上で, 検査に携わることが重要かと思われます。

1.53Tで骨髄コントラストを同等にするには、どの様な工夫で改善すると考えられますか?

答え

骨髄信号の見え方のみを考慮するならば、骨髄の信号が高い1.5Tにおいて、TEを延長することで, 位相分散が進み、骨髄の信号値は低下すると思います。しかし、TE延長により、以下のデメリットも考えられます。①位相分散が進むのは(骨髄だけでなく)全ての組織に対してですので、全体のSNRが低下する。②Long T2を強調することになるため、画像全体のコントラストに影響を与える。
以上のことから、トレードオフを考慮しつつ, 必要に応じて用いるのが適切かと思われます.


なぜ女性の方が骨髄信号は高かったのですか?理由はありますか?

答え

確証はありませんが, 女性の方が赤色髄の割合が多いためと推測されます.
(理由)まず、骨髄は赤血球や白血球をつくる造血組織で、造血活動を行う赤色髄と、造血活動を終え脂肪組織で置き換えられた黄色髄(脂肪髄)に分類されます。
文献(Dena S Leeman, Anne Brunet. Sex specificity in the blood. Nature. 2014 Jan 23; 505 (7484): 488-90.)によると、“雌のマウスは妊娠時に多くの血液を必要とするため、エストロゲンに呼応して、造血幹細胞を頻繁に分裂する”と記載があります。
人間を対象とした文献は見つかりませんでしたが、妊娠に関わるエストロゲンの挙動については、人間に同様の傾向が見られても不思議ではないと思われます。
赤色髄は拡散強調画像で高信号を呈することが知られていますので、
女性の方が赤色髄の割合が多いことが、骨髄信号が高い原因ではないかと推測しています。

2021年7月2日金曜日

第16回GE DWIBS研究会のご案内

第16回GE DWIBS研究会のご案内です。m3.comでイベント決済をお願いします。締切は8/20(金)です。会費は500円です。決裁を済ませた方にTeamsの会議URLをお渡しします。Webinar方式ができないか?検討中です。

反復しますが、Let's Try DWIBSは各施設の創意工夫を皆で学ぶ企画です。今回は2施設の現状を皆で参考にしたいと思います。

DWIBSの症例報告を行います。技師でも勉強して、こういうところを気をつけて撮影すれば良いのか?疾患側からの撮像方法を学びます。DWIBS以外の撮像方法の情報も取得します。

DWIBSの画像では1.5Tと3Tでは相違します。皆さんはこの事実を知っていますか?原理も含めて特徴を学びます。

おまけコーナはハンズオンセミナーを行いながら、少し撮像条件にも触れてみたいと考えています。以上宜しくお願いします。
お問い合わせ gedwibs@gmail.com