横浜栄共済病院の高橋から、GEDWIBS研究会の成り立ち、本日の注意事項などを説明させていただきました。第一部は各ユーザの創意工夫、論文紹介を行ないました。創意工夫は過去の研究会の背景もあるので、少しだけ紹介させていただきました。
上尾中央総合病院の石川さんから、3T Discovery750Wの冠状断の撮像条件法の説明をしてくれました。RL方向を周波数方向とし、SI方向を位相として、コイルの感度領域と選択コイルを巧みにチューニング、SI方向へSATを用いることで綺麗に撮影できることを証明しました。頸部領域のAsset Factorは1.75として、それ以外では2.0を用いると良いということでした。この方法の原法は、けいゆう病院在籍時の五十嵐太郎さん(*現GEHCJ)の方法を用いています。
このような画像が得られます。この条件は本ブログ(PCでしか見えません)で公開しているので是非ご参考にください。
横浜南共済病院の南さんからは拡散強調画像の脂肪抑制効果に関しての発表でした。脂肪抑制効果をファントム実験で検証したものでした。脂肪のT1値が成分によって相違。STIRを用いても、完全にはnull pointにならない。1.5Tよりも3.0TではT1値が長くなること(より緩和時間が長くなる)、SNRが違うことより脂肪抑制効果が悪いことを証明しました。現状ではSSRFとの併用が望ましいが、頸部では磁化率の相違の影響で用いることはできないので、現状では両磁場ともSTIRを用いるべきとしていました。
新別府病院の加藤さん(九州からの参加です)拡散強調画像の歪みに関して、図を使用してわかりやすく説明してくれました。各社でBWの表記のアルゴルズムが違うので注意すること、歪みと撮像パラメーターとの関係も解説くださったのでDWIBSを撮像する時に留意する点を理解することができました。スライドの原本をいただいていますので、是非という方は連絡をいただきたく思います。
北里大学の塚野さんからは、論文レビューということで脂肪抑制とADC値の関係の論文を紹介くださいました。脂肪抑制法により脂肪抑制の効果が異なり、測定部位と脂肪のケミカルシフトとの絡みでADCが大きく変化する可能性が示唆されました。つまり3,0Tでは頸部ではSTIRのみ、体部はSTIR+SSRFとした場合、同じ患者部位によってADCが異なる可能性がある。つまり脂肪抑制法は統一したほうが良いということでした。
第2部は、東海女子医大東医療センターの小島さんに座長をおこなっていただきました。
GEの中村さんからDV26の説明と拡散強調画像撮像シーケンスの追加機能を紹介していただきました。
DV25.1⇒DV26ではこんなに新しい機能が追加になりました。最近では一番大きなアップデートだそうです。
RTCF(Real Time Center Frequency):従来は設定スラブの中心のスライスでチューニングを行っていました。つまり設定スラブの上下端に向かうほど、チューニングを行っていないので、最適な共鳴周波数で励起していないためにスラブ1, スラブ2などの接合部で段差(歪の影響)を受けることになります。SSRFとの併用で使用できるようです。Classic(SSGR:Slice Slective Gradient Reversal)はもうSignaの初期からイメージングオプションにありました。90度パルスと、180度パルスの傾斜磁場の極性を反対にすることで、励起する脂肪の量を減少(脂肪抑制効果があがる)というオプションです。DWIのシーケンスに付加されました。750Wで撮影するとこのような画像になるということでした。
リニューアルオープンとなった帝京大学溝口病院。MRI装置も1.5T 450W/3.0T Discovery750Wの2台体制となりました。今回の研究会では会場の設営に尽力くださいました原子さんに、新しいVERであるDV26の使用経験を話していただきました。CSを使うことで従来3D CUBEでの足関節撮影(約8分)が、同じ時間で脂肪抑制も追加できるようになったということでした。非常に細かい撮影であるので3Tではうってつけの検査で、データを整形外科医師に提供することで(整形外科医師がご自身でWSを駆使)、手術のプランをたてるということでした。24時間頭部のMRI検査をおこなっているので、その検査でTOFもCSを使って短くできること、DV26の新しいUIで簡便に慣れていない当直技師でも緊急検査ができることなどを教えていただきました。貴重なご経験をありがとうございました。
旧病院と新しくなった病院の外観がわかります。
焼津市立総合病院の宮崎さんから、来年行われる第9回GEDWIBS研究会の案内が行われました。静岡駅から近くの病院なので、少し遠いですが、今度はわれわれが静岡に行きましょう。
第3部はライブということで、実際の装置を使って標準撮像法(DWIBS研究会推奨撮像条件の検証)を行ないました。約20名の参加者を10名づつで班を作成、1.5T, 3.0Tで交互に体験してもらいました。帝京大学溝口病院のスタッフの方はこの日まで猛練習?と聞いております。仕事が終わったあと検討してくださったということでありがとうございました。
皆さん真剣な眼差しで装置を見つめていました。GEの中村さんからオンコンソールを使ってDWIBS(全体MIP:Pasting法)を実演していただきました。こちらは1.5T班です。
こちらは3.0T班です。AAcoilを実際に持ってもらいました。意外と軽い?重たい?でしょうか?こんなことも体験してもらいました。いかがだったでしょうか?
会場の外には、Signa脱着テーブルシステムで使用できるCoil Slidingボード(メディカルエキスパート社)の説明をさせていただきました。説明員は開発者の宮崎さんです。多くの方が興味を持って、このボードを見ていました。実際に手に取って、重さなどをチェックする方もいました。
会の終了後、世話人と関係者のみで検証を行ないました。石川さんが提案くださった冠状断DWIBSの検討です。どうですか?皆さん、4スラブではありますが、非常に綺麗な3.0TのDWIBSを撮像することができました。横から見ても脊髄のズレはほとんどなかったです。STIR onlyで脂肪も目立ちませんでした。これが不思議でした。
最後に原子さんを囲んで記念撮影をしました。とっても忙しい1日でした。達成感はありましたが、多くの方に関わっていただいた研究会です。感謝しかありません。また次回宜しくお願いします。
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