2022年9月6日火曜日

第18回GE DWIBS研究会 問答

GEDWIBS研究会先週の金曜日でオンデマンド配信も終了しました。Q & A集を作成しました。当研究会はやりっぱなしはしません。私達のポリシーです。積極的に皆さんに共有していきます。またGEの新しいコミュニティーサイトである、GE CARESのForumという機能を使って皆さんとコミュニケーションも取ります。こちらも是非宜しくお願いします。今週末は磁気共鳴医学会です。もし世話人の私たちを見かけたら是非お声がけ宜しくお願いします!


世話人からの情報提供

GE DWIBS研究会 世話人一同

◆健診でDWIBSを考える場合にadditional imageは何を選択すればよいでしょうか?

答え

世話人からの情報提供セッションにて紹介させていただきました、MET-RADS-Pや前立腺癌の骨転移検出のための全身MRI撮像の細則などが参考になると思います。しかし、これらは前立腺がんの骨転移に対するものですので、これらをベースに検診の目的にあわせて医師と相談し、決定するのが良いかと思います。

◆回答ありがとうございます。エビデンスは低いと思われますが、ドック健診領域でのDWIBS撮影にプラスするadditional imageという意味合いです。

答え

※こちらに関してですが、当研究会では検診で使用している世話人がおりませんので、GE Careshttps://www.gecares.com/)のGE DWIBS研究会のForumにてディスカッションさせて頂ければと思います。

 

DWIBS症例報告

横浜南共済病院 南 広哲

◆造骨型のDWIの信号は不明瞭とありましたが,以前,治療前は高信号と聞いた記憶がございます.ご教授いただけますでしょうか.

答え

ガイドライン上の記載を元に解説させて頂きましたので、全例でかならずしも同様のコントラストを呈するわけでなく、「他の型と比べた場合の傾向」と解釈できるのかと思います。また、実際の臨床例においては、純度100%の造骨型の割合は少なく、溶骨型と造骨型の混合である混合型の割合が多い印象を持っています。これを踏まえての想像になりますが、純度100%の造骨型と純度100%の溶骨型を比べると、ガイドラインのような傾向があるが、実臨床においては、混合型の割合が多く、少なからず溶骨型も含むため、DWIで拾い上げができる、という事と考えています。

◆造骨型は骨シンチ、溶骨型はMRIPETが高信号になるとありましたが、骨転移の診断はMRIPETが優れているとありました。骨転移の診断能に像骨型は関係しないということですか?それともAdditional Imageで診断できるということでしょうか?

答え

骨転移全体で考えた際に、MRIPETが優れているという事だと思います。(骨シンチは造骨型で顕著) 造骨型において、DWIは他の型と比較して不明瞭となる傾向があるという事だと思いますが、実際には純度100%の造骨型は割合として少なく、造骨型+溶骨型の混合型が多い為、DWIで検出できる例が多いと考えています。また、MRIでは、DWI + Additional Imageによるマルチコントラストによって、一定の診断能を担保できると考えています。

◆第8Body DWI研究会の山口岳彦先生の講演で、どの型でも(造骨性でも)DWIで描出されると示していただいた記憶があります。また、高原先生の講演でも「骨転移診療ガイドライン」では「造骨型は不明瞭」「骨粱間型は等信号」と書かれているが、実際には無治療の骨転移はどちらのタイプも高信号を示すと言われていた記憶があります。そもそも「骨転移診療ガイドライン」は正しいのでしょうか。

答え

質問について、当方の私見を述べさせて頂きます。

骨転移診療ガイドラインの是非については、傾向を示すものとして一定の論拠があると思われますが、千差万別の背景を有する患者個々にフォーカスを充てた際に、異なる信号を有することは往々にしてあり得る事かと思います。読影ではなく、撮像を専門とする診療放射線技師の立場としては、ガイドラインからの推察となりますが、純粋な造骨型部分と純粋な溶骨型部分を比べた場合、純粋な造骨型部の方がDWIでは不明瞭となる、と解釈できるかと思います。また、実臨床においては、純粋な造骨型部のみを呈する例よりも、造骨型部+溶骨型部を有する混合型の割合が多いとされています。このため、混合型における溶骨型部がDWIで高信号を呈するとともに、造骨型部も検出されている例は多いと推察します。今回の症例報告にあたり、過去のDWIBS画像にて骨転移型を意識して観察した感想になりますが、造骨型部よりも溶骨型部の方がDWIの信号が高い傾向を感じました。この論点に関しては、今後DWIBS検査の広まりと共に症例が蓄積され、明らかになっていくものと思います。私自身、これからも意識して、情報収集ならびに観察を続けていきたいと思います。

 

How to DWIBS!!

東海大学大磯病院 大塚 勇平

◆コイルスライディング法以外のDWIBSは内蔵Body Coilも使って撮像していましたが、Additional imageは息止めまたはフリーブレスどちらで撮像しているのでしょうか?

答え

本体内蔵BODYコイルを使用したコイル固定法でのAdditional imageに関して、当院ではAxial T2WI SSFSESagittal T1WI FSEおよびSagittal STIR FSEを撮像しておりました(当時は、version16HDxtを使用しておりました)。Axial T2WI SSFSEでは、上腹部領域のみ「息止め」で撮像としております。そのため、8(12)ch Body Array コイルでは、必ず上腹部領域をカバーする必要があります。本体内蔵BODYコイルでは、SNRが低いためNEXを上げる必要があります。そのため、低NEX・低SNRで「息止め」とするよりは、高NEX・高SNRで「フリーブレス」として加算平均で動きの影響を少なく見せるといった解釈です。Sagittal に関しては、全て「フリーブレス」です。

 

その他

上尾中央総合病院 石川 応樹

◆当院は機器更新でGEに代わりDWIBSを検討していこうかと考えています。AIR RECON DLの使用でDWIBS検査の時間の短縮や画質向上はするのでしょうか?よろしくお願いします。

答え

AIR RECON DLを使用することにより、当院でのPhantom StudyではDLR強度HighSNRDLR nonと比べて最大で2.3倍となりました。この上昇したSNRを利用することにより加算回数を下げる事ができると考えますので、撮像時間の短縮に寄与すると考えます。また、上昇したSNRを空間分解能向上に振る事で画質が向上すると思います。しかし、加算回数を下げれば動きによるアーチファクトが強くなり、Matrixを上げれば歪が強くなりますので、それぞれについて適正値があると考えています。当院での検討では、NEX4→NEX3Freq.Matrix 128→160にて撮像時間の短縮と画質の向上が得られる結果となりました。